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●「狡兎死して良狗烹らる」

ライター:ダース=トリオムーン@ミナロ

以前の『三国志』につづき

『劉邦と項羽』(なぜか『項羽と劉邦』ではない)

をGyaoで見終わった。(こちらは全三十五話)


項羽を討ち、天下を取った劉邦だが
漢王朝を永らえる為には今までと違った方向での
才能が必要になる。
出来上がった組織を維持する能力っての?
劉邦亡き後までを視野に入れての戦略立案をしなければならない。
皇帝になったらそれで「あがり」と言うわけにはいかないのだ。

共に戦った将軍達ではあるが
戦争のない世の中では必要のない存在、と言うよりむしろ邪魔。
お互いに疑心暗鬼になり
主立った将軍達は次々と粛清される。

ここで活躍したのが呂皇后。
漢王朝を脅かしそうな奴は情け容赦なく粛清。
いくさでは負け知らずの韓信もあえなく殺されてしまう。
邪魔者は片っ端から殺しまくる。煮物にまでしてます。

劉邦は皇帝に即位したら腑抜けてしまい
側室に入れあげちまう始末。
側室の子を跡継ぎにしようとさえする。
「秦の二の舞」と周りは諫めるのだが。
目先の事しか見えなくなっちゃっているんだな、女で。
ま、結局は劉邦が死んでしまうので
その後暫くは呂皇后の天下が続くのだが。

「中国の三大悪女」の一人に数えられる呂皇后だが
彼女が居なければ漢王朝はそう長くは続かなかったんじゃないかな。
中身は色々とあるけれど(殺したり殺されたり、取ったり取られたり)
歴史的に見れば漢王朝は安定していたわけだし
平民からしてみれば大きな戦争がない世の中だった。

項羽を倒すまでは武器を持って戦う男達が主役だったが
その後はどちらかというといろんな意味で女が主役。
壊したり造り上げたりするのが「男性的論理」で
出来上がったモノを維持するのが「女性的論理」ってところかね。
なんだか「両界曼荼羅」の「金剛界」「胎蔵界」に通じるところが
あると思います。

呂皇后は女性だったからこそ
良くも悪くも歴史に名を残したんだろうな。
もしも男だったら、項羽とキャラがかぶりそうだもんね。
女性だからこそ生きたキャラだったんでしょうな。
呂皇后のエピソードを聞くと「おんなってこわっ!」って
思っちゃうよね。
ある意味「メスの強さ」なんだろうけど。
オスは敵いませんな、メスには。

そんな中でも上手く立ち回ったのは張良。
とっとと隠居を決め込んでしまい
余計なことにはなるべく関わらない。
流石です。
劉邦が天下を取る前から見えていたんでしょうな、その後が。
そして、おんなの怖さも。


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