●「ギリギリ」
ライター:ダース=トリオムーン@ミナロ
「えっ?コレをその納期とその値段で? かなり手を抜いてもギリギリじゃん!」
「それなりのクオリティのモノしかつくれないよ。」
「時間が無いんだから、仕方がないよ。」
とは、言うものの…。
実際にモノを目にする人間の殆どははそんな事情は知る由もない。
「ずいぶんクオリティ低いなぁ。ひで~手抜き仕事。どこ?」
「この程度の会社なんだ。ふ~ん。」
事情を知らなければそんな感想を持つ事だろう。
「短納期の為、クオリティを落として納品しております。」なんて品物に書くわけにもいかない。
ビデオのDLサービスのサンプルじゃ無いんだからね。
品物に張り付いていて、見る人見る人に
「納期が無かったんでこうなっちゃったんですよ。
本当はもっとクオリティの高い仕事が出来るんですよ。」
といちいち説明する事なんて出来るハズがない。
もし出来たとしてもそんな恥ずかしい事やりたくない。
いったん手元を離れたら、後は品物がすべて語ってしまう。
言い訳が一切出来ないのである。
それどころか注文を出した人間ですら
そんな言葉をあちこちで耳にするに連れ
「あそこはクオリティ低いんだぁ。」なんて
自分の発注が原因なのをコロッと忘れて思い始める。
そのくせ自分に都合の良いところだけは覚えていて
「この間は、この値段でやってくれましたよ。」
な~んて、さも当然のように言い出す。
無茶な注文主はほっといて良い(良かぁ無いか?)としても
自分で納得のいかない品物が色々な人の目にさらされるのが耐えられない。
特に同業者に「あそこはこの程度か。」
な~んて思われたら一番の屈辱である。
じゃあ、そうならない為にはどうすれば良いのか?
絶対的に時間が足りないのならば時間を作るしかない。
出来れば不測の事態に備えてマージンも欲しい。
効率をとことん考えてムダな時間を排除。
それでも足りないなら
「プライベートな時間を削る」である。
起きている時間のすべてを仕事にぶっ込む。
それでも足りなきゃ「寝る時間を削る」っきゃない。
中小製造業の皆さんは殆ど経験有りますよね、徹夜仕事。
でも寝不足は仕事の精度を下げるので効率的には
いまいちなんだけど…、ま、仕方がない。適当に仮眠をとって。
そうして満足とは言わないまでも
「まあ、及第点かな。」ってなクオリティにまで
なんとか持って行く。そして納品。
よし、これで恥をかかなくて済む。よかった、よかった。
と・こ・ろ・が…
次からそれが当たり前になってしまっている。
「この間は、この納期と値段でやってもらえましたよね?」ってね。
こうして会社には私の生活用品が増えていくのである。
今、会社には寝袋、歯ブラシ、ひげそり、目覚まし時計、買い置きの夜食
箸、茶碗、換えの作業着、靴下、パンツ、Tシャツ、バスタオル、フェイスタオル
レッドブル、電気スタンド、ナイトキャップ用の本、蚊取り線香が有る。
パソコン、テレビ、DVDプレーヤー、冷蔵庫、炊飯器、ガスレンジ、トースター
電子レンジ、電気ポットは既に有るし、自宅には無い自動車まであるではないか。
自宅より快適な環境になるのはそう遠い未来では無いだろう。
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コメント
よく判ります~。
単価安くてもいい加減なモノ納品できないですからね~。
「交差いらないから~」「ヒトツヤマでいいから~」
なんていわれても結局いつもどおりに作ってしまいます。
日本人的って感じですかね。
最近は価格もどんどん下がってしまいますね~。
確かにこの前はこれくらいのをこの価格で作った実績があるなんて言われてもその時々の事情がありますからね。
調達の人はそこらへんのセンスもって欲しいですね。
というか上層部が意識しないと駄目かな?
共倒れしたいんならいいけど・・・。
▲コメント投稿者: はがせんむ (Jun 10, 2009, 7:51:31 PM)
あと、よく聞くのが
「今度、穴埋めしますから、今回はこれで・・・。」
「いつになったら埋まるんじゃい!」
▲コメント投稿者: ダース=トリオムーン@ミナロ (Jun 10, 2009, 10:59:23 PM)