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●あったらしい童話~そのさん~

『桃太郎』~誕生編~ver.2.0

ライター:ダース=トリオムーン@ミナロ

おばあさんが川でひろってきた

おおきなももを

食べようと

ほうちょうではんぶんに切ると…。

とっ~ても甘いかおりが
うちじゅうにひろがりました。

そのももは
いままでに食べたことがないくらい
おいしいももでした。

ふだんおいしいものなど
あまり食べられないので
おじいさんとおばあさんは
その日はしあわせなきもちで
ねむりにつきました。

そしてつぎの朝が来ました。

おばあさんはいつものように
おじいさんよりはやくおきて
あさめしのしたくをしていました。

けさはとても気分がよく
いつもよりからだがよくうごきます。

きっと
きのうおいしいももを
食べたからだろうと
おばあさんはおもいました。

うしろに人のけはいがしました。
おじいさんがおきてきたのでしょう。

おばあさんがふりかえると
そこに
しらない人が
びっくりしたかおをして立っていました。

いえ、しらない人ではありません。
よーくしっている人です。
おじいさんになるまえの
おじいさんでした。
わかいころのすがたのおじいさんがいたのです。

わかいころのすがたのおじいさんが
びっくりしたかおで
じぶんのことをみつめています。
あまりのおどろきに
ぽかんと口をあけて
あほみたいにつったっています。

おじいさんは
おじいさんになってからは
おちつきがでてきたけれど
わかいころはほんとに
あほみたいなかおだったことをおもいだして
おばあさんはおとめのように
くすっとわらってしまいました。

おばあさんは
いつでもおちついていて
そして
あたまのかいてんがはやいので
いま
おじいさんとじぶんになにがおきているのかが
ちょっかんでわかりました。

「ももだ。」

「きっと、あのももは<せんにんの国>から
 ながれてきたももだったんだ。」

ももには<わかがえりの力>があると
むかしからいわれていました。

「あのももを食べたからふたりはわかがえったんだ。」

おばあさんはじぶんのむねに手をあててみました。
おばあさんのそうぞうどおり
そこにはなつかしい
はりのあるおおきなむねがありました。

その日は
もとおじいさん
もとおばあさん
山へも川へも行かないで
ずっと家にいました。

あさからよなかまで
ず~っと
わかがえったからだの
やわらか~いところや
かった~いところ
おたがいにたしかめあいました。

そしていつしか
ふたりのあいだにこどもができました。

ふたりはそのこを
「ももたろう」となづけました。


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コメント

桃太郎の元々の話はこうだったらしいですね。
たしかにこのほうが「桃から生まれる」よりも説得力があります。
桃~桃源郷~神仙思想から考えても理にかなってます。

ま、たしかに子供には読み聞かせにくい…。

▲コメント投稿者: たなかじゅん (Apr 6, 2011, 10:20:04 AM)

理解しようが、しまいが
子どもに読み聞かせる
それ
正しい童話の聞かせかた。

「おとなになって初めて意味を知る。」って経験
とても大切あるよ。

▲コメント投稿者: ダース=トリオムーン@ミナロ (Apr 6, 2011, 5:40:31 PM)